キュルノンチュエで使う豚肉は、かごしま黒豚。現在は、「霧島高原ロイヤルポーク」と呼ばれる黒豚の中でも上級品を使用する。黒豚を使う理由を伺うと、「イノシシの肉に一番近いんだよ」と山岡さんは話してくれた。ブタはイノシシ科の動物で、イノシシを家畜化したものだと言われている。「私がフランスにいた頃も、古典的な在来種を復活させる運動などがあったんです。黒豚はイギリス バークシャー種のみの純粋単一品種とされていて、最近の品種を掛け合わせた豚肉とは根本的に違います。」現在、多くの豚肉は、ヨークシャー種、ランドレース種、デュロック種の中から二つか三つ(三元交配)を掛け合わて生産することが多い。肉質の良い品種、子豚を多く生む品種を掛け合わすことで、生産効率をあげることが目的である。
黒豚の良さを伺うと、「まず見た目に、色が赤っぽく、しまりがある。味は、水っぽくなく、とても濃いです。一番特徴的なのは、背脂です」。ソーセージづくりには、赤身70%に対して、30%の背脂を入れる。「黒豚の脂は融点が高く、溶けにくいのです。加工の時に熱を加えても、脂が逃げることなく、味がしっかり残っているのです。一方、悪い豚肉の脂はすぐにとけてしまうので熱を加えている間に、脂の味が消えているのです。」
私は普段あまりイノシシの肉など食べないので、山岡さんに詳しく伺うと、「イノシシの肉の脂は、熱を加えても溶けないだよ。美味しい猪鍋は、前日から肉を煮て、タレをしみ込ませることだよ」と教えてくれた。
白かび熟成の乾燥ソーセージ。正直あまり日本では見かけることが少ない商品。そのまま食べても大丈夫なのか、または、外側の菌の部分は取り除いて食べるべきなのか、分からないのでどんな食べ物なのか伺ってみると、「この白かびのソーセージは、ヨーロッパではごくごく一般的な食べ物ですよ。白い部分は、カマンベールチーズに代表される白かびチーズ (ホワイトチーズ)で使用される同じ白菌です。」
作り方を伺うと、「黒豚の赤身と上質な背脂に、ひき割り黒胡椒を加えて腸に詰めて、フランスより空輸で取り寄せた白菌を植え、3週間から4週間、熟成・乾燥をさせます。かびは水分を吸って生きているので、ソーセージの水分を吸い、味が凝縮されて旨みに変わっていきます。この3~4週間の熟成により40%ぐらいの重量が小さくなります。つまり旨みが凝縮されているのです。」
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